【中国】 中国進出 成功企業の実体験 (医療・医療機器・一般製造業)

日本の上場企業の6割が中国に進出しています。左記6割の出所:中国ハンドブック2011年


日本企業がこれからも、海外で持続可能な発展を成し遂げるには、すべての資源を標準化し明確なガバナンスのもとで常に最適化を企図しなければグローバル企業になれないと考えています。
中国で成功している在中国日系企業は、製造業で65.5%、非製造業においては62.4%です。2005年の成功企業は73.3%で2009年まで毎年5%位落ち込み、2010年に一機に回復基調となりました。

初めて進出する企業はとくに大変だと思います。主に人事に関する問題では万国共通で、賃金上昇、従業員の質、現地従業員の育成、人材採用難と当たり前のことばかりですが、評価制度は中国で納得性の高いものでなければなりません。また現地の事情を日本の本社に説明しても理解してもらえない。 というようなことは日常茶飯事で担当者は大変です。これらを踏まえこのアンケ-トから答えが見つかると思います。

この体験は2011年に実施された中国進出に成功した企業アンケートを抜粋し社名は省きました。
大変に参考になりますのでご高覧下さい。

Q:中国人の技術スタッフはどうか?

A:彼らは個人主義的であり、会社に縛れない。会社に対する忠誠心も乏しいため、同業他社等に転職してしまう者も多い。誰でも対?できるような生産体制をつくらなければならない。

Q:労働者の確保に問題はないか?

A:2010年頃から労働者を集めにくくなった。当社は歴史が長いため、従業員の半数以上は終身雇用対象者となっており、業績が悪くなっても経営サイドが一方的にその社員の首を切ることは難しい。

Q:販売に当たって困っていることはあるか?

A:薬事承認をとるのに時間がかかる。他国では承認されているのに中国ではとれないというものもある。規制が高度化する中で審査する側が追い付いていない感じもする。当社の設立によりメーカーとして直に販売できるようになったため、マーケットのニーズに合わせた製品づくりも行いやすくなった。ただ、薬事承認が取得できないと新製品を開発しても販売できないというのは辛いところである。

Q:日本の中小医療機器メーカーに対するアドバイス

A:どことパートナーを組むかが最も重要である。当社も代理店を介して病院へ販売しているが、適切な代理店を選別、育成していくことが極めて重要である。その際、何層にもなってしまう流通網をいかに簡素化するかということも課題となる。また、品質とコストのバランスを確保することも重要な要素である。中国市場のニーズに合った価格設定とするためには相当のコスト削減が必要となるであろう。

Q:薬事法の取得には問題がないのか?

A:以前には法律はあるが、いわばなあなあの世界だった。しかし、最近はなかなか許認可が下りなくなっている。一つ一つの項目について確認されるようになっており、その確認の度合いが世界一厳しいといわれるまでになっている。基本的には米国のFDAを参考にしながら規制しているのだが、米国等で先に使ったデータを持ってくるとそれを規制当局が理解するまでに時間がかかる。例えば、病院内で使用されるモニターは重症患者用に用いられるので、誤診につながらないよう高い信頼性が必要とされる。このような場合であっても日本では製品に新規性がない限り治験まで必要とされないが、中国では原則として動物実験の治験データが必要になる。中国の同業者も審査の厳しさに手を焼いており、中国の業界団体とコミュニケーションをとりながら対処である。

Q:薬事承認は容易にとることができるのか?

A:基本的に規格は同じであるが、規格の解釈に日本と中国で相違があるため承認をとることは簡単ではない。上海で?際に試験評価を行っている担当官と話したことがあるが、彼らも試験評価に関するノウハウを完全に持っているわけではないので、お互いの計測方法を確認し合いたいと言われ、ぜひ一緒にやりましょうと答えた。このような業務協力により、結果的に当社の製品も承認取得が容易になればよいと思う。

Q:中国の医療機器市場をどう見ているか?

A:この20年で様変わりである。以前はまさに発展途上国であり、大病院であっても何も機器を保有していなかったため、どんどん入り込むことができたが、今では中国の病院もカネ持ちになってきた。また、地場企業の技術革新も進み、同じような製品を中資メーカーが作るようになってきた。信頼性は劣るが安価な製品が地方の小さな病院には入り込み始めている。当社としては、地場メーカーとの競争において価格が追い付かない状況になりつつあり、入札でも負けるようになってきている。ただ、中資メーカーは部品を集めて来て、組み立ててしまえばよいという発想であり、品質はそれほど高くない。

Q:中国の医療機器市場をどう見ているか?

A:ハイエンドの輸入品についてはトップレベルの医療水準を誇る3級甲病院向けが中心であり、国産品はその下の1級病院、2級病院及びそれ以下の病院が中心というのが基本的構図である。中国には70社~80社の医療機器メーカーがあり、その中から急成長するところも出てきている。ミドルエンド、ローエンドは元々中資メーカーの牙城であったが、GEやフィリップスは数年前からミドルエンド、ローエンドのボリュームゾーンを狙う戦略をとってきている。その背景としては、中央政府による農村部への手厚い財政措置により、このような地域の病院、診療所における需要の伸びが著しいという事情がある。

Q:中国の販売市場をどのように見ているか?[歯科]

A:日本の最新機器など世界のトップレベルの治療機器が既に中国の主要な病院には導入されており、中国政府が熱意を持って歯科治療水準の向上に注力しているのが理解できる。また、5年ほど前から個人開業医が増えており、例えば上海市では約350の個人歯科医院が登録されている。それでも中国では病院の中に歯科診療科があるのが一般的であり、個人歯科医院は極めて?ない。中国人の歯に対する意識も変わってきており、歯を白くするなど歯の審美に関する意識も高くなっている。製品は中国でもトップレベルのブランドなので、大学病院等のトップレベルの病院や歯科医院が主なターゲットである。

Q:国内市場はどのように開拓しているのか?

A:実際の販売は代理店が行っているが、その際、当社の営業担当も同行したりしている。中国での営業活動は、言葉の問題というよりもニュアンスの問題に近く、相手との微妙なやりとりが必要となり、これは中国人でないとできない。このため、当社の総経理は、国内販売強化のため2009年以降日本人から中国人に代え、総経理自らも販売促進活動を行っている。中国の場合、顧実との交流を通じて互いに理解し合わないとビジネスが進まないが、地域ごとに価値観が異なるため、全国一律の代理店では難しく、地域ごとに販売代理店を分けている。そして販売代金の回収もまず交友関係をつくってからである

Q:中国の競業他社をどのように見ているか? [歯科]

A:北京及び上海のデンタルショーに毎年出展しているが、年を追うごとに中国中堅メーカーのものづくりの水準が上がっていると感じる。デザインも洗練されてきており、近くから見ても海外製との区別が分かりにくくなっている。当社もマーケティング調査をより重視し、中国のユーザーにどのような物が望まれるのかを調べ、この国に合ったスペックの物にしていかなければならない時代になったと感じる。このため、ハイスペック製品とミドルスペック製品の両方の商品構成が必要と考えている。

Q:模倣品の流通等の問題はないのか?

A:日本から欧米諸国に輸出している製品が真似されてこちらで流通していることがある。デザインもそっくりであり、本物と同じようなマークが付いていたりする。当社でもこれから大型製品を製造・販売していきたいが、技術流出につながらない製品が対象となる。調達等に当たって技術情報が外部に漏れることがないようこれらの管理は特に重要である。

Q:今後の展望は?

A:現在、中国向け製品は、日本の図面に基づき、現地部品メーカーの要求をぎりぎりまで採り入れている。次の段階として、中国市場に合わせた製品を作るために、一部構造を変えてこちらで図面を描く予定である。そのため、設計や薬事業務のスタッフの技術力を向上させている。 また、現在、一人屋台生産方式でものづくりを行っているが、更なる品質と生産効率の向上のため、取引先を含めた品質基準の更なる明確化、従業員のスキルアップ、作業の標準化等のすべてにわたる「ものづくりシステム」の見直しと、人が入れ替わっても品質が確保できるよう、一つの作業を複数の作業員でカバーする体制整備を進めている。

Q:上海の物件は価格が高いと聞くがどうか?

A:既に東京以上である。東京は人件費が高いが家賃は低く、上海は人件費は安いが家賃が高いという状況だ。上海ではよい物件は1週間で借主が決まってしまう。日本とはスピード感が異なるので、日本での意思決定を素早く行うことが重要である。

Q:開業以来13年になるが、御感想は?

A:経済の伸びているいい時代なので、ここで仕事ができることを幸せだと感じている。

Q:日本の中小企業に対するアドバイス?

A:やはり国、地域各地で文化が異なるので、地元の文化に合わせなければならない。上海であれば上海の文化、北京であれば北京の文化に合わせなければならない。 私も失敗例を耳にすることがあるが、普通日系企業では技術の問題ない、投資するだけの経済力もある、しかし、文化が合っていないことにより失敗していると考える。失敗しないためには地元で信頼できる人を見付けなければならない。中国に投資する前にそこで管理できる人がいるかいないか見極めなければならない。これが最も重要である。

Q:日本の中小企業に対するアドバイス?

A:中国に出てきた以上は現地の人を信じてやったらよいと思う。総経理を任されている中国人を何人か知っているが皆うまく行っている。日本人の意見も取り入れて管理することはよいと思うが、日本人が管理するとどうしても認識の違いが出てきてしまう。ここに適した管理方法を取り入れた方がよい。

Q:中国の消費者はどうか?

A:日本の消費者よりも味や食の安全性に対して敏感である。中国人は自分が食べてうまいと感じた物や良いと思った製品にはカネを出しても買う。日本人の方が?伝に左右されやすいと思う。中国人は日本人以上に味にシビアであり、客が多く入っている中国の飲食店は間違いなく味がよい。安全と品質に金を惜しまない。日本の製品にたいしては信頼が高い。


いかがでしたかでしょうか。

中国市場には欧米系、韓国系、台湾系等の企業も多数参入しています。このような競争の激しい市場に進出したい企業の参考に供すればと思います。
また変化の速い中国市場に対して開発-生産-販売・提供という経営サイクルを有効に循環させるためには、現地法人への権限委譲及び日本親企業の経営トップの適切な関与が必要です。
その前提として、中国の人々や社会のためになる事業を行うことにより現地のよきパートナーを見出すことが重要です。日本人・日本企業に最も足りないもの、それは異文化・異国の地で自らの夢を実現しようという勇気ではないでしょうか。中国市場には無限の可能性があります。
●OMDでは中国・ロシアCIS、アジアへ進出される企業様などのお手伝いをさせて頂いております。


□ 人口は国力!
 2011年10月の世界人口は70億人を越えました。
 そのうちアジアの人口は42億人
 (中国13億4,800万人・インド12億1、000万人)

□ 日本の人口は1億2,535万人ですが5年間で37万人減少です。
□ 旧ソ連邦をは3億5千万人です.
 この数をプラスするとまさに45億5千万人、人口の65%が発展し広大な市場となります。

 今まさに、アジアの時代なのです。

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